ソプラノ
「母さん、大丈夫か?」








わたしはリビングのソファーで寝てしまっていた母さんを起こす。







「あ・・・・あたしったら、こんなところで寝ていたの?」






母さんは目を擦ると、ソファーから体を起こした。








「今、病院から電話があった。涼の・・・手術日が決まったそうだよ」





わたしは夕飯の支度に取り掛かかろうとしていた母さんに、後ろから声をかける。







「え・・・・・?それは、いつですか?」






母さんは震える声で、エプロンの紐を結ぶ。









わたしは一瞬戸惑ったが、真っ直ぐに母さんを見直し、






「明日の午後2時だそうだよ」






と、強く告げた。








「あ・・・・明日?」







母さんはよろよろと、おぼつかない足取りでキッチンに向かう。








そんな母さんを、わたしと、2階から下りて来た涼の姉、玲とともに、見つめていた。



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