ソプラノ
資格
涼の手術日前の夕方。









涼のことを由希に聞いた陸が、俺の病室に来ていた。










「明日、なんだってな」







陸が重い口調で切り出した。







「あぁ」






俺は赤く染まっていく空を、ベッドから眺めながら呟いた。









「俺さぁ、涼に会ってから、馬鹿になったと思うんだけど・・・」









俺の言葉に、陸が笑う。







「はぁ?何だそれ!」





陸は俺の頭を軽く小突き、「確かに馬鹿になったかも」と笑った。












「俺はさ、入院した時、“めんどくせぇ”としか思ってなかった。 でもさ、涼に会っ てからたまに、“このまま入院しててもいいかも”とか思っちゃうんだよな。馬鹿だ よな?」





と俺は小さく笑った。
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