忘れられない人
と、とりあえず言い訳がましく言っておいた。

じゃないと、失敗したときに返す言葉がないもん。

そして、生地の焼けるいい匂いがしだし、いざひっくり返す・・・というところで、

私はフライ返しを両手に、思い切りよくひっくり返した。

バタン。

お好み焼きはキレイにひっくり返ってくれた。

「あのさ・・・。中野って、何でもやること男前だよね・・・。」

・・・男・・・前?

それって褒めてるの?

それとも??

「いや、褒めてるつもりなんだけどね。見た目と違って、話しはじめたら、男らしい・・・じゃないけど、って、オレ褒めてないか。」

私はその言葉に素直に喜べない。

たしかに、黙ってたら・・・とよく言われてきた。

けど、自分を偽るのは簡単だけど、素の自分を好きになってもらいたいから、

私は普通に、いつもの自分を出してきたつもりだった。
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