忘れられない人

それを凌から、男らしいと言われたら・・・。

・・・全然嬉しくないよ。

私は泣きたい気持ちをこらえるのに精一杯で、きゅっと唇の端を結んだ。

一瞬無言の空気が流れる。

「ごめん、そういう意味じゃなくて・・・。オレ、もっと女女してる子だと思ってたからさ、そのギャップがいいなって思ったんだよね。だから、そう落ち込まれると困るんだけど・・・。気にした・・・？悪いな、変なこと言って。」

そんな私の様子を見て、

凌は一生懸命弁解してくれる。

その様子がおかしくて、私はついつい笑ってしまった。

「よかった～。中野に泣かれたら、どうしようかと思った。」

ホッとしたように胸を撫で下ろして、凌が言った。

きっと、凌なりの褒め言葉・・・だったんだよね？

慌てて弁解してくれたので、そう思うことにしよう。