忘れられない人
凌の食が細く、2枚のお好み焼きで十分おなかいっぱいになった。

食べ終わって店を出、車に乗り込む。

時間はまだ22時を回ったとこだった。

もう少し一緒にいたいな・・・と私は思っていたけど、それを口に出せるわけもなく、

車を走らせる道を見て、私の家の方向に向かっていることがすぐにわかる。

やっぱり、帰るよね・・・。

凌との次に会う約束はもうない。

今度いつ会えるかもわからない寂しさに、とまどいながらも、

車は夜の川越街道をゆるやかなスピードで走っていく。

あっと言う間に、家の前に着いてしまった。

「んじゃ、またな。おやすみ。」

そして、あっけなく凌に別れの言葉を言われると、車は元来た道を戻っていった。
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