忘れられない人
「私もさぁ、藤咲先輩のことって、そんなにわからないもの。当時も、彼女がいる・・・とは聞いてたけど、連れてくるわけでもなし、どんな人と付き合ってたかすら、謎だもんねー・・・。」

「そっかぁ・・・。」

みちるの言葉に、私は途方もなくしょんぼりする。

「普通に、メールのやりとりすればいいじゃない。今度、ご飯食べに行こう~とか、またバイク乗せてください~とか。だめ?」

そうは言うものの、あんまり言ってうざがられるのがイヤなのだ。

「大丈夫じゃない?だって、藤咲先輩、咲妃にヘルメット買ってくれるって、言ったんでしょお?」

「うん・・・。」

「なかなかそんなに高価なもの、買ってくれるなんて、言わないでしょっ。私は、その話を聞いた時点で、咲妃に好意を持ってるなって思ったんだけど?」

そういうものなのかな。

私は凌に会いたいし、声も聞きたい・・・。

とは思うものの、そのきっかけが見つからず、何もできないままでいた。
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