忘れられない人
「あぁ、和光の友達んとこ集合だったから、その前に、いるかなって思って教習所覗いたんだよね。そしたら、一生懸命走ってる姿が見えたから、ちょっと見て帰ったんだ。」

「まだいるかなって思って、電話しちゃったの。」

「悪いね。ゆっくりは見てないんだ。でも中野。ちょっと姿勢が良すぎかな。もう少し、猫背でいいんだよ。ピンと姿勢よく乗ってるから、どこにいるかすぐわかる（笑）。」

そして、ちょっとバイクの話をし、電話を切った。

凌が見に来てくれたことがわかって、嬉しかった。

少しは・・・気にしてくれてるんだよね。

こんな些細なことでも、俄然やる気をもらって、私は教習所に行くのが楽しみになった。

しかし、その後の技能講習で、

坂道発進時にエンストし、後ろに下がったバイクを支えきれずに、転倒した際にフェンスとバイクとにはさまれ、足に怪我をした。

折れたりはしなかったものの、すごい大きな内出血のあざができた。

< 110 / 194 >
表紙・目次

この作品をシェア

pagetop