忘れられない人
よくないことは続くもので、それ以来、坂道発進が怖くてできなくなったうえに、

クランクでも、後輪が道路の段差に引っかかり転倒。

そのときもうまく転べずに、バイクに足をぶつけ、傷がまた増えた・・・。

会社は制服着用で、スカートなため、教習所に通っていることも知っている上司や社員たちからは、

「女の子なのに・・・。」

と、可哀相な目で見られた。

なので、私服も自然とこの大きなあざを隠すように、パンツ姿が増えたのだった。

バイクに乗っていると、また転ぶのではないか。

そして、まだ傷が癒えていないため、痛いこともあり、

あれ以来、恐怖心がどうしても募ってしまった私は、教習所に行く足が遠のいてしまった。
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