忘れられない人
教習所用のバッグに入れて持ち運ぶのは、邪魔になるので、どうにかバレないようにヘルメットを持っていきたい。

私はヘルメットを片手に、そーっと階下におりる。

誰にも会いませんように・・・。

しかし、サンダルを履いているところで、

「咲妃、何時に帰ってくるの?」

と、母親がキッチンから顔を出した。

もちろん、私の持っているヘルメットに目がいく。

わ、やばい!

「咲妃!!!何それ?!」

あきらかに口調で怒っていることがわかる。

何も言えないでいると、父親までもが母の怒鳴り声を聞いて、

玄関に顔を出した。



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