忘れられない人
私は苦笑いしながら言ったのだが、凌の目が瞬間、とても厳しいものに変わった。

「中野、親に言ってなかったのか?!」

あれ?私、藤咲さんには言ってなかったっけ?

誰に何を言って・・・というのまで覚えていなかった私は、

もしや、これもまずい展開?と、内心ヒヤヒヤし始めていた。

「・・・親には、バイクの免許取るの、反対されてて・・・。」

もごもごと語尾を濁しながら話す私に、凌は思いっきり大きな溜め息をついた。

「・・・だろうよ。普通の親なら、女の子がバイクの免許が欲しいと言っても、あっさりOKしないわな。」

そして、もう一度、溜め息をつく。

「じゃあ、今日初めて、メット持ってたおかげで、バレたわけだ。」

「はい・・・。すみません・・・。」

何でこんな展開に?

今日は楽しいデートじゃなかったの・・・?
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