忘れられない人
立て続けに厳しい状況に立たされて、私は小さくならざるをえなかった。

「・・・で、ちゃんと了解は得たのか?」

「いや、そのまま急いでたから、出てきちゃった。帰ったら、ちゃんと親には説明するよ。」

「あー・・・。んとに、大丈夫かなぁ。もう、いい大人なんだから、親に心配かけちゃだめだぞ。」

ほんとに、年が3つしか違わないのに、凌はだいぶ大人だ。

・・・私もいい加減、大人にならないと・・・なのかもな。

親に言われたところで素直に聞けない私だが、凌から言われると、なぜかすんなりその気にさせられてしまう。

そんな力を持った凌と、ずっと一緒にいたいと思った。

「さーてと。小言はもう終わりな。あんまりうるさく言うと、うるさいジジイと思われちゃ、たまんない(笑)。」

凌は、すっくと立ち上がると、バイクのエンジンをかける。

ブォン!


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