忘れられない人
凌のバイクがゆるやかに走り出した。

今日も陽射しが強く、炎天下・・・といえるほど暑かったので、信号待ちのときがしんどかった。

走っているときは風を直接受けるために、そんなに暑さは感じなかったのだが、

一旦止まると、車の熱気とアスファルトの照り返しとで、思った以上に暑い。

「大丈夫?少し休憩する?」

私は何にもしないで乗っているだけだというのに、凌から心配されていた。

「ううん、平気。・・・しっかし、暑いね。ヘルメットの中、汗、やばいくらいかいてる。」

「ははっ、こんなもんだよ。これができないんじゃ、バイクには乗れない。」

そしてバイクはまた、走り出す。

凌から言われた、マフラーの音の違いは、素人の私には全くわからず・・・。

音、どこか違うっけ?

とさえ、思ってしまう。
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