忘れられない人
「おいてくぞ。」

そして凌は、私をおいてさっさと歩き出した。

そのあとを、私は慌てて追いかけることになった。

足の長さも歩幅も違うので、

追いつきたくても、私は小走りしないと追いつかない。

「おっせーなぁ。」

凌の後を、ぴょこぴょこ走りながら追う私の姿を見て、凌は笑っている。

・・・私は犬かい!

思わず突っ込みたくなるが、その気持ちを抑えて、

とりあえずは凌に追いつき、並んで歩いた。

水族館の中は、冷房が効き過ぎるくらいにひんやりと肌寒かった。

「生き返るねぇ・・・。」

そしてパンフレットを見ながら順路を辿り、中へと進んだ。
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