忘れられない人
そろそろと鍵を開けて家に入る。

「ただいまー・・・。」

小さい声で言いながら、リビングに顔を出す。

しかし、リビングには母しかいない。

「あれ、お父さんは?」

「もう寝たわよ。」

あれ?

それだけ??

母が何も言わないので、ちょっと拍子抜けした。

帰ってくるなり、ガツンとしぼられると思っていたからだ。

「咲妃、アンタ、ちゃんとお父さんに謝りなさいよ。」

「・・・なんでよ。」

どうしてかなんて、わかっているけど、

素直に謝ることができない私だ。

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