忘れられない人
―――久しぶりの教習所。

私はドキドキしながら着替えを済ませ、階段を下りてバイクの準備をする。

・・・乗れるかな?

私は体で覚える・・・というよりも、頭から入るタイプなので、

さっきまで教本片手におさらいをしたけれど、

本当に久しぶりすぎて、エンジンのかけ方すら忘れてしまっていた。

こんなんで大丈夫なのかしら?

かなりの不安があったが、サボったのはまぎれもなく自分自身なので、文句のいいようもない。

教習スタートのチャイムが鳴り、バラバラと教官たちが階下に下りてきた。

せめて、優しい教官に当たりますように・・・。

私の願いが通じたのか、私の担当になってくれたのは、比較的優しく指導してくれる教官だった。


< 183 / 194 >

この作品をシェア

pagetop