忘れられない人
仕事帰りには、1時間しか講習が受けられないし、池袋までのスクールバスの発車時間も押し迫っているため、慌てて着替えを済ませ、スクールバスに乗り込んだ。

帰りのバスはとても混んでいるので、汗だくでバイクに乗っていた私は、いつも汗臭くないかとても気になった。

それに大きなヘルメット持参・・・でいる女の子が他にいるわけでもないので、一瞬でも視線を感じることが多々ある。

私は人の目を気にするタイプなので、なるべく周りを見ないようにしながら、池袋までの時間をやり過ごす。

「へぇ、2輪で通ってるんだぁ。すごいね!」

急に隣りに座った女の人から声をかけられた。

20代後半?くらいの落ち着いた感じの小さい女の人だった。

「あ、はい・・・。」

声をかけられることも初めてだったので、少々ビクつきながらも笑顔で返す。
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