忘れられない人
「じゃあ、今度ちゃんと用意しとくよ。・・・中野さん、こんな汚い名刺いらないよな。ずっと財布に入れっぱなしだったから、折れてるし。」

そう言って、名刺を返してもらおうと手を差し出す凌に、

「これ、もらってい?これで十分十分!ありがとう!!」

と、私は慌ててその名刺をバッグに突っ込んだ。

佐田さん、サンキュ!

きっと私のことだから、まだ連絡先も交換してないのわかってて、

気を利かせてくれたのかな。

凌からもらった1枚の名刺が嬉しくて、その後、にやにやと笑いが絶えなかった。




< 33 / 194 >

この作品をシェア

pagetop