忘れられない人
私が興奮しながらそう言うと、笑いながら、

「ははっ、残念。オレが乗ってるのはスポーツバイク。だから、後ろが一段、高くなってるの。さすがに、ぎゅーはできないなぁ。」

・・・えぇーっ。

そうなんだ。

でも・・・。

「今度、バイクの後ろ、乗っけてくれませんか?めっちゃ興味があるんですけどっ。」

私はまた会う機会を作りたいと必死だった。

だけど返ってきた答えは、

「今、仕事が忙しいし、予定が空いてないんだよね。だから、いつ・・・とは言えないけど、また今度ね。」

だった。

どう考えても、脈なしだぁ。

土日休みなのに、予定が空いてないって、ないよね?

彼女がいたりする?

うーん・・・。

そのあとの話で、実は湊と私が同じ会社に勤めていることがわかった。

「あ〜〜〜!やっぱり、そうだったんだぁ!湊先輩のバッチ、どっかで見たことあるなぁって思ってたんですよね。咲妃んとこの会社のマークだ!」

「えっっ、まじで?!何年入社?何支店?」

「平成10年入社の本社勤務、だよ。そっちは?」

「オレは入ったばっか。転職だよん。でもって、本社勤務。すげー、明日も会社で会えちゃうなぁ。」
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