忘れられない人
私はその呼び方に、違和感を持ちつつも、とりあえず凌の待つデニーズへと向かった。

凌は白のワッフル地のTシャツに黒のピッタリとした細身のパンツ、そしてエンジニアブーツ姿で、バイクのそばに座り込んでいた。

それがまた、凌の細くてスラリとした体型をキレイに見せている。

かっこいい!

しばし見とれていると、凌がおはようと言いながら、すくっと立ち上がった。

凌のそばには、黄色と紺色、そして白色の3色でデザインされたバイクが置かれていた。

「おはよう・・・ございます。このバイク、何ていうの?かっこいいですねぇ。」

「これ、HONDAのCBR929RR、FIREBRADEの逆輸入車。黄色のって、めずらしいんだ。」

バイクを褒められて凌は嬉しそうに言った。

凌がバイクをとても愛しているのがわかるように、バイクはどこのパーツもピカピカだった。

「で、私はこの部分に乗るんですよね・・・?」

CBRはスポーツタイプなので、2人乗りのシートが少し高くなっている。

見るからに不安定そうなので、乗る前からちょっと不安になる。

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