忘れられない人
「うん。で、ここのベルトを持って・・・。まぁ、心配なら、オレのこと掴んでてもいいよ。落ちなければ、どんな感じでも(笑)。」

凌は笑いながら、SHOEIのフルフェイスのヘルメットを手渡す。

「これ、普段オレが使ってるやつだから、汗くさいかも。・・・大丈夫かな?」

そして私の頭にメットをすっぽりかぶせると、

凌もかがんで顎のベルトを締めてくれる。

うわ。めっちゃ近い・・・。

凌の顔がメット越しにあるので、息をするのも忘れてしまうくらいに緊張する。

「よし、OK。じゃ行くぞ。後ろ乗って。」

凌は自分が先にバイクにまたがったあと、私にも後ろに乗るように指図する。

足をかけてまたがると、思った以上に高い。

これでスピードがでるんだよね・・・。

私、大丈夫だろうか。

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