忘れられない人
今日の気温は何度くらいあるんだろう・・・。

私は長袖のシャツを着ているので、更に暑い。

おまけにメットの中も空気がこもるからか、じっとり汗ばんでくる。

バイクの運転は体力を消耗するからか、途中途中コンビニで休憩しつつ、目的地を目指す。

このときのヘルメットを取ったときの開放感と、冷たいコーラが何ともおいしかった。

「大丈夫?疲れてない?」

凌は車のタイヤ止めの石に腰掛けながら聞いてきた。

「私、後ろに乗ってるだけだもん。」

「・・・でも、腿に力入ってるだろうし、風もだいぶ受けてるから、今は平気でも後でどっと疲れが出ると思うよ。」

「ふふっ、こんなにバイクって楽しいもんだとは知らなかったー。今まで乗ったことなくて損した気分♪」

私が笑顔でそう言うと、

「ふーん・・・めずらし。そんなこと言う女の子って、初めて見たかも。」

凌は驚いた顔をしながらも、少し嬉しそうに笑った。
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