忘れられない人
「親は?ちゃんと言ったんでしょうね?!」

「いや・・・。反対されたから、内緒で・・・。」

「ないしょぉ?!!」

「・・・うん・・・。で、まだ入校したの、バレてない・・・。」

私は友美の剣幕がすごいので、小さくなりながら、答える。

同い年だというのに、しっかり者の友美にかかると、まるで保護者がここにもいるようだ。

私は一気にシュンとなる。

「まずいよ、咲妃・・・。親くらい説得してからでないとー・・・。じゃないと、バイクのきっかけを与えた、藤咲さんの印象が悪くなるんだからね。」

えっ・・・。

それは困るよ。

私が一人で勝手にしたことなのに、凌が悪く思われるのはいやだ。

「でも、バレなきゃ大丈夫だよ。何とかなるって。」

私はあくまでも楽天的だった。

だから後で痛い目を見ることになるのだが。
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