忘れられない人
すでに思考回路がショート寸前の私。

初の技能講習後、続けて学科講習を受けに行くつもりだったのに、

私は2輪ステーションにそのまま残って、椅子に腰掛けながら、凌へと助けを求め電話した。

今日は日曜だし、電話に出ることを期待してもいなかったのだが、

3コールしたのち、

「はい、もしもし?」

と、凌が電話に出た。

私は、自分でかけておきながらも、まさか出るとは思っていなかったので、なかなか言葉が見つからない。

「・・・どした?」

凌はそんな私の様子を不審に思ったのか、心配そうに聞いてきた。

今を思えば、これが私が凌に初めてかけた電話だった。




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