愛ト羊ト君ノ世界。
塩の日
「 」
彼女は無言でふりかえった。
そして彼女は首をかしげている。
僕が言わないと、・・言わないと、「好きなんです、えっ・・と、先輩のことが。」って。
「 」
・・言った。
でも、彼女は無言のままで。
「・・・・・。」
僕も無言のままで。
そんな静けさが何秒か続いたころ
「ゆき、ふってるね。」と彼女が言った。
「・・・あぁ、」そういえば、と顔を上げる。
赤い、雪だった。
夕焼けに照らされた、真っ赤な雪。
「今年はじめての雪、だね。」
「・・はい。」
そのまま二人で赤い雪を眺める。
・・・
・・・・・はあ。
さっきのことはなかったことにされたのだろうか。
彼女がそういう人だとは、重々承知していたけれど。
でもやっぱり僕はちゃんと「小野、くん。」
急に彼女に呼ばれ「・・・はい。」僕は返事をする。
彼女を真正面から見つめる。
肩までかかったセミロングの髪の毛に雪が少しつもっていた。
「私も恋してる、君に。」
「・・そう、ですか。それは嬉しい限りです。」
彼女は微笑む。僕もつられて、微笑んでしまう。
・・・あー。僕たちは両想い、だったのかな。
「でも、」
彼女は一息ためて、
「 」
・・う、ん?
僕たちも雪と同じように夕焼けに、赤く照らされていた。