愛ト羊ト君ノ世界。
まず「両想いだった。」と、とりあえず言う。

佐々木はほう、とつぶやきいつのまにかほおづきをやめていた。

えーとそれで、「でも付き合いはしなかった。」そうそれ。

・・・ってさ、いま言ったの僕じゃないんだけど。

「よう、お二人さん。」僕の肩にぽんと手を置く。

佐々木がげっという顔をして「小泉・・・」とまたぼそりとつぶやいた。

「やあ、小野君。わたしは昨日、綾瀬先輩と君がねっちりこっちりやっていたのを目撃してしまった。そして悪いがずっと盗み聞きをしていたのだよ。」

・・ありゃ。聞かれていたのか、全く気がつかなかった。

それとねっちりこっちりってなんだ。

「正解だろう、小野君。それは綾瀬先輩の他にもう一人、君のことが好きな人がいたからだ。ふふ、いやーモテるじゃないか君も。」

「はあ・・・。」随分得意げだなー。

確か小泉って言ってたっけ・・小泉はかけている赤ぶちの眼鏡を人さし指でくいっと持ち上げる癖があるようだ。

今までの会話の中で5回はやっている。

でもなんか小泉に似合うしぐさのような気がする。

んー、なに言ってるんだろう自分。

そこで佐々木が口をだす、「それで、その小野のことが好きなもう一人のやつってお前なの?ベタな展開だな。」またほおづえをつき、あくびまじりに言う。

小泉のことが苦手なんだろうな、こいつ。

それで等の小泉は笑いこけていた。

それが落ち着いたころ「はー、ありえないわ。何それ、あっはは。」

・・・なんかちょっと傷つく。

「・・ん。」

そこでチャイムがなった。

みんなざわざわと席につき、僕たちも立ち上がりそれぞれの席につく。

去り際に小泉に、頑張ってね。と言われた。

うん、頑張る。でも具体的になにを頑張れと・・。

僕は授業中、物思いにふける。



そして

そのあと僕は塩をまぶされることになる。


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