太陽キャンディ
「まっ、未来のエースだし、仲良くやってくれよ」
平塚先輩独特の八重歯が、ニッと笑った時に見えた。
未来のエース。
その響きが余計に、ポケットの中身を重くさせる。
その貴重なピッチャーをなくした、それは俺だけが知っている。
「……仲良く、ですか」
特別仲がいいわけでもない。
特別な存在価値でもない。
ただ、
(止めていたら、成海は……)
今更、止めていたらどうなっていたか、なんて。
小さく小さく心の隅に、後悔のシミ。