太陽キャンディ






「……へ?」




なんとも間抜けな声が、自身の喉から出た。


それに再び平塚先輩が笑う。







ひとしきり笑った後、


(……あ、)




これこそ平塚先輩だ、と思わせる八重歯が見えた。









「言ったろ? 顔が死んでるって。お前は笑っとけ」






そう言ってまた高瀬とじゃれ合い出した平塚先輩に、何も言えない。








笑って、返事をするくらいは出来ただろうけど。




「…………」


(……この人は)






俺は無言で、眩しい空を仰いだ。







──今日はいつもより、



(…………優しすぎる)









いい天気だ。
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