太陽キャンディ
「こんな季節に転校生って……」
「なーに? 南は楽しみじゃないの?」
「……だって一年生って決まったわけじゃないんだし」
「えー、俺年上でもバッチコイだけどなー」
転校生は女だと確信しているのか、河井はいつもより元気で。
河井とはまともな話はあんまり出来ない、そう脳内に言い聞かせていると。
「残念だったなー、河井」
平塚先輩がボールバッグを背負いながら、ニッと笑った。
帽子を適当に被っている為か、変に歪んでいる。
「どーゆーことですか?」
「転校生は女じゃねぇよ、正真正銘殿方だ」
「先輩ズルいっ! なんで知ってるんですかー」
「勘だ勘。男の勘を甘く見んな」
それを言うなら女の勘。
しかも殿方って。
っていうか。
(男だって確定したような言い方……)
不思議に思いながら帽子を深く被っり、ぞろぞろと部室から出て行くみんなに連なって、出口に向かう。