太陽キャンディ
……って、待てよ。
さっき平塚先輩、なんて……
「ちょ、……っと待って下さい! 参堂高校、参堂って言いました?」
いつも冷静な高瀬が、目を見開きギンギン光らせ、逆三角形よろしく恐ろしい瞳を平塚先輩に向けた。
他のみんなも同じように目を見開いている。
平塚先輩はいつも通りの笑顔で
「うん、参堂、さんどうこうこう」
ゆっくりその高校名を口にする。
(……嘘だろ)
参堂高校、
名前を口にするのは簡単だ。
けどその価値は、他の学校よりも酷く重い。
きっとこの野球部の中にも、参堂高校を狙いたかった人はいるだろう。
実際俺だって、野球をやるためには憧れた学校だ。
だけど何処よりもレベルが高く。
諦める、しか術は残っていなかった。