太陽キャンディ
陽太の性格が、どれだけ周りの人を苦しめてきたのか、たくさん見てきた俺だからわかること。
だから俺は、
『……なあ陽太』
『あん?』
『…………うち来い、いいキャッチャーがいる』
『どうだか、朋史が言うことは信用出来ねぇしな』
コイツを南に会わせたかったのかもしれない。
「てか南遅くねぇ?」
「もう結構経つよな」
高瀬と河井の会話でハッとして、部室のドアを開けて顔を覗かせる。
冷たい風が頬を掠めて顔が歪むが、俺は目を凝らして夕日でぼやけたその二つの影を見つめた。
「先輩寒いー、風邪引きますよー」
「ああ、悪いな」
もう少しだけ見たかったな、と惜しくもドアを閉めてしまったけれど。
あの二つの影が、どうしようもなく嬉しかった。