太陽キャンディ






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レガースバックを背負ったまま、緑のブレザーの背中を見ていた。






部室から少し離れた、グラウンドに入る為の数段の階段に腰を下ろし、夕日と同じ色の髪が風で揺れている。








転校生で参堂のピッチャーだったってことは、自然と野球部に入って、自然とバッテリー組むことになるんだろうな、と彼の背中を見て思った。




早く部室に行けばいいのに、どうしても足が部室に向かない。








「…………あのっ、」




話すことなんかこれっぽっちも考えていないのに、彼の背中を見ていると、何かが自分を駆り立てた。






話しかけられたのが、まさか自分と思っていなかったんだろう。




彼は振り向いてから、自分を差して「俺?」と言った。
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