太陽キャンディ
その場に立ち尽くしたまま、頭を抱える余裕も、自分の考えにはひとかけらも入っておらず。
どうすべきか。
どこを見るわけでもなく、斜め下に目を泳がせた。
グラウンドからバットの音がして、
それを聞いてハッと気付く。
まだ練習中。
たとえ休憩時間と言ったって、こんなに遅いと。
(いろいろ怪しまれるな)
無理矢理握らされた成海の退部届を、晒してグラウンドに向かうのは気が引ける。
握り締めた跡が残らないように、ピンと伸ばし二つ折りにして、練習着のポケットにねじ込んだ。