太陽キャンディ






その場に立ち尽くしたまま、頭を抱える余裕も、自分の考えにはひとかけらも入っておらず。




どうすべきか。








どこを見るわけでもなく、斜め下に目を泳がせた。


グラウンドからバットの音がして、
それを聞いてハッと気付く。






まだ練習中。
たとえ休憩時間と言ったって、こんなに遅いと。



(いろいろ怪しまれるな)








無理矢理握らされた成海の退部届を、晒してグラウンドに向かうのは気が引ける。






握り締めた跡が残らないように、ピンと伸ばし二つ折りにして、練習着のポケットにねじ込んだ。
< 7 / 57 >

この作品をシェア

pagetop