私の好きな人



「あれは、違うから」

「…え?」

「あの人と、抱きついてたのはドラマの撮影のため」

「…ドラマ?」

「そう。」


そう言って、出ていたお湯を止めて話し出した。





「彼女は、俺の幼なじみで女優――…」






話はこうだ、その幼なじみに、偶然にも空港であって、ドラマに出てくれと言われたらしい。
相手役の人が体調を崩して出られなくなったから、やって欲しいと言われた。
山田さんは、やる代わりに、顔をうつなさいとの、約束でドラマに出たらしい…


それを見た私が、勝手に勘違いをして、一人で泣いて…



恥ずかしい!!!

穴があったら入りたい!!!




「だから、花が思ってるような関係じゃないから」


「本当に?」


「あぁ、俺は、花しかいらない」









その言葉を言った時の、山田さんの瞳があまりにも綺麗で。吸い込まれそうだった。











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