soft-rainy
あの日、雨に降られながら思ったの…この子犬を拾い上げる人が居るのかな?…そんなちっぽけな事を考えていたらいつの間にかその子犬を抱き上げて歩き出せずにいたんだ…しばらくして一瞬呼ばれた気がして振り向いたらやっぱり時雨がいて私のかじかんだ手をその大きな手で温めてくれた…私が雨で濡れないように時雨は自分のアウターウェアで包んでくれたから…その時、虹がでていなくたって私はただ時雨を見つめて満たされていた。雨が続くと少し憂鬱だけど、雨が降らないと本当に困るように何気ないんだけど必要なこと…雨が降ること。時雨という言葉はいつもは何気ないんだけど必要とされる存在…この頃の私には時雨はそんな存在だったのかもしれない。私にとってそれが恋じゃなく友情だったとしても…
秋になって
夜、人だかりの遊歩道の横で時雨が乗っているバイクの後ろに時雨の腰に手をまわして乗っていた。何気なく後ろに目をやると街灯の光がゆっくりと流れてそこに人が作り出す色んな光と騒音が流れて光の曲線と音でまるで楽譜みたいね…そう思いながら私はぼんやりそれを見ていた。
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