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もうそろそろ、夕焼け小焼けの鐘が鳴る頃。

辺りはもうオレンジ色に染まっていて、
開け放した窓からはよその家の夕食の香りが漂ってきた。


ふんっと意気込んで、立ち上がる。

きっともうすぐ君は来る。

何も持たず、手ぶらで。

陽気な笑顔で『腹減った』と言うだろう。







トントントンという階段を上がる音がしたかと思うと

チャイムも何も鳴らさず、ドアが開く音がするのを聞いた。





「腹減った。今日なに?」

ずかずかと入り込んできた流は私が予想した通りの事を言い、どかっとソファーに座った。

「ハンバーグ、もうすぐ出来るから待ってて」

「ん」

そう言うと、私は流に背を向けた。




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