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しばらくして、家に誰もいないと確信した流が口を開いた。



「いねぇな」


「うん」


「親父さんに今日帰るって言ったんだろ?」


「…言ってない」


私がそう言うと、流はひどく驚いた表情をした。


「はあ!?なんで」


「だって…!いつも家にいたもん」


必死になって言った。


「なんでいないの?
もしかして…私がいなくなってからは、毎週どっか行ってたの?

…やっぱり私は邪魔者なの?」



この家から逃げ出したのは私だけど、
最初に線を引いたのも私だけど、



でも、それでも今日会えるのを、
心のどこかで嬉しく思っていたのに。






今は


『来なきゃよかった…』


そう思わずにはいられない。










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