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「なにを…考えてる?」
「………」
いきなり核心をついてきた。
「さっきのことだろ?親父さんたちいなくて…
お前、なにを思った?なにを恐がってるんだ?」
心配そうに私をみる流に、
涙が零れ落ちそうになる。
そうだ。
私が泣ける場所は
いつしか流の前でしか
ありえなくなっていた。
学校から帰って来て、
鍵を使い、
家の中へと入る。
そこには誰もいない。
『ただいま』を誰に言うわけでもなく、
そのまま自分の部屋へと直行。
そして、夕飯を作るため
また一階に下りていく。
ひとりで作り、
ひとりで食べ、
お父さん用にラップをしておく。
お風呂に入って、
寝るまでの間、
私はずっとひとり。