名残の雪
始業式の次の日、2時限目の歴史が始まる前。
「また、あんたと同じクラスか」
頭上から振り落とされた声に顔を上げると、1年の時クラスも委員も同じだったの久保くんが呆れたような表情でわたしを見下ろしていた。
さらっとした前髪が揺れる。鼻筋はしゅっとして、愛嬌のある目元に、二重瞼が伏せる。その整った顔を睨みつけた。
「それはこっちのセリフなんだけど?」
すぐに彼から目線を外したわたしは、机の上に教科書を出しノートを広げる。
「まさか、また学級委員なんてやらないよな?」
「それもこっちのセリフ」
シャープペンの芯をカチカチと出しては引っ込めてを繰り返す。
「あんたさー、もうちょっと可愛いげあれば、フラれずに済んでたかもしれないのに」
久保くんの言葉に、弄んでいたシャープペンの芯がポキッと折れた。