名残の雪

次の日のHR、教壇に立つ担任が教室内を見渡した。

「久保が学級委員を辞退したから、代わりに誰か立候補いないかー?」


わたしは昨日のことが頭の中を駆け巡り、担任の話どころではなかった。

それでも体は正直で。

久保が学級委員を辞退…。

担任が言葉にした名前に、ピクッと耳が反応する。


ああ…、そうか。あのセリフの意味は。


『でも、それも今日で終わり。悪かったな、付きまとったりして』

そういうことか。


もぬけの殻状態の頭の中で、ピンと1本に繋がるアイツのセリフたち。


一つ一つ嫌味っぽくて。

でもそれも…。


自分のお兄さんの浮気相手になっていた、わたしに対しての怒りだったのだろう。


つくづく相性が悪いんだって思っていた。

顔を合わせれば反発しかしなくて。


アイツはわたしのこと、嫌いなんだと思い込んでいたけど…。
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