名残の雪
番外編
「寒いっ」
さっきからずっと寒いしか言わない知恵。
「冬だからね」
と、だけ答えるわたし。
「…もう無理っ」
知恵は端っこに備え付けられているヒーターへと逃げ出した。
周りを見渡せば真面目に準備体操をしているのは、運動部の生徒ばかり。残りはみんなヒーターに沿うように1列に並んで温まっていた。
この寒い時期に、古い作りの体育館での体育の授業は、拷問に近い。
一目散に暖を取りに逃げ出した知恵は賢明だった。
わたしだって寒いのは嫌いだ。ましてや輪にかけて嫌いな球技、しかもバスケなんてもっと嫌い。
それなのに、屈伸したり手首ほぐしたり。これじゃ端から見ればやる気満々。
「お前…、体育の成績そんな良かったっけ?」
心配そうな顔をして投げかける久保くんは、息を切らしてわたしの横を駈けていく。
男子は本格的な走り込みでウォーミングアップの最中。
さっきからずっと寒いしか言わない知恵。
「冬だからね」
と、だけ答えるわたし。
「…もう無理っ」
知恵は端っこに備え付けられているヒーターへと逃げ出した。
周りを見渡せば真面目に準備体操をしているのは、運動部の生徒ばかり。残りはみんなヒーターに沿うように1列に並んで温まっていた。
この寒い時期に、古い作りの体育館での体育の授業は、拷問に近い。
一目散に暖を取りに逃げ出した知恵は賢明だった。
わたしだって寒いのは嫌いだ。ましてや輪にかけて嫌いな球技、しかもバスケなんてもっと嫌い。
それなのに、屈伸したり手首ほぐしたり。これじゃ端から見ればやる気満々。
「お前…、体育の成績そんな良かったっけ?」
心配そうな顔をして投げかける久保くんは、息を切らしてわたしの横を駈けていく。
男子は本格的な走り込みでウォーミングアップの最中。