危険男子
あれ、あれ?
あれあれあれ?
「あの……ひゅ、彪真くん?」
「あぁ!?」
あたしが呼びかけると彪真くんは、今までに聞いたことも見たこともないような恐ろしい声色と形相で返事を返してくれた。
あたしはびっくりして身体の動きがピタリと止まった。
「……………………あ」
彪真くんは少ししてからいつもと違う自分に気付いたようで、慌てて口を手で押さえていた。
「あーぁ。彪やっちゃったねー。」
「思ってたより早くバレたな。だから隠すなんてしなきゃいーのに」
馬鹿なあたしにはあんまり状況が掴めてない。
「彪真くん……?」
ピクリ、と反応した彪真くんはゆっくりあたしのほうに近づいて来た。
そしてあたしの前に立つと、あたしの顎を指先で持ち上げた。