危険男子
に、兄さん!?
家では『灯』って読んでたよね!?
しかもいつもの笑顔と口調に戻ってるし……。
な、なんか気持ち悪い……。
あたしの腕を掴んだまま、みんなのアイドル生徒会長さんに笑顔を向けている彪真くん。
灯真くんも気付いて振り返り、彪真くんを見て少し時間をおいて笑顔を見せた。
「手など出していませんよ。ただたまたま会ったから一緒に登校してるだけです」
笑顔を絶やさずに言う。
「兄さんが成瀬と知り合いだったなんて初耳ですよ」
彪真くんがくいっとあたしの腕を引っ張りながら歩き、灯真くんをも追い越し、学校へ向かってずんずん進んで行った。
「………ちょ、彪真くん!?どうしたの?」
他の人たちに聞こえないようにこっそり話し掛けた。
「別に。置いてかれたから灯に仕返ししただけ」
さらりと言う彪真くん。
口調も元に戻ってるし……。
しかも仕返しか……。