スノー・ラヴァーズ
三人とは距離が離れた場所で、だんだん世界は動き始めていた。
「石が動き始めております。目撃情報が南でありました。」
「何…!!良し!!すぐに石を追え!!」
「はっ…!!」
石の伝承は昔から各地に残っていた。
"何でも叶える事の出来る石"
それを探し、世界を握ろうとする人々は後を絶たなかった。
もちろん権力者は伝承の情報を金で集めていた。
これまでドロップが狙われていなかったのは夜<ブシク>の村に居たからだった。
夜<ブシク>の村や朝<アスブイ>の村は元々昔から呪いが掛けてあり、外から見つからないようになっていた。
それでも朝<アスブイ>の村は見つかり、炎の海になった。
朝<アスブイ>の村は石の後継者が生まれた事により石の力が強く、呪いが薄くなり、あの朝、溶けてしまったのだ。
ドロップの両親はそれに気付いていた。
だからあの日、ドロップを使いに出し、夜<ブシク>の村の長クレスに連絡をしていた。
「昔、あの村では失敗をしたが…これで世界は私の物だ…!!」
城の中で笑う彼からは闇の力が溢れていた。
もちろん三人はまだそれを知らなかった…。
*
森の中、三人は変わらずに歩いていた。
お爺さんの一件以来、街へは寄らず、ひたすら森の中を直進していた。
幸い、スノー・ラヴァ―ズの光も街へは伸びる事がなかった。
「ねぇ、ドロップ、前から聴きたかったんだけど…。」
ドロップの歩幅に合わせて歩くリムが不意に呟いた。
「なあに?」
「その石の光、何処を目指してるの??」
「………。」
ドロップは思わず足を止めた。