スノー・ラヴァーズ
「たぶん…もう一つの石の場所…だと思ってたんだけど…。」
改めて聴かれるとドロップは何も言えなかった。
光の先に何があるのか、誰に聴いたわけでもないし、夢に見たわけでもなかった。
正直な所、なんとなく行かなければならない、そんな気がして歩いているところもあった。
「………。」
ドロップの答えに今度はリムが足を止めた。
(違うと思う……なんて言えないし。)
リムは珍しく次の言葉を探していた。
確かにリムも全部を知るわけじゃない。
けれど、石の場所くらい知っている。
…というか、本当の所、もう一つの石について、リムも確認したわけではないのだが、恐らく間違ってはいないだろう。
ドロップの答えとリムの考えが正しいとするならば既に光は止まっている。
それでも光は伸びているのだから、ドロップの答えはやはり間違いなのだろう。
二人が困り果てていると、それまで黙っていたフォールが不意に言葉を発した。
「その石はお前を連れて行きたい場所があるんじゃないのか?」
彼としては、二人が足を止めたから止まらなければならないし、二人の考えもなんとなく解っていた。
それに、フォールは石の光が指す方角を見て、なんとなく見当を付けていた。
「連れて行きたい場所…?」
「あぁ。」
「何処なんだろう…。」
「さぁな…。だけど、お前にはやりたい事があるんだろう。」
悩みながら俯いたドロップはフォールの言葉に顔をあげた。
「うん。」
「それなら…悩まず進め。」
それはフォールらしくない言葉だった。
いつもなら考えてから進むように言われる事の方が多い。
「……そうだね。ありがとう。」
だけど。
きっと今のドロップには一番必要な言葉だった。