スノー・ラヴァーズ


(…いつもなら反対するのに…。)

ドロップはリムとフォールの視線に少し困っていた。

ドロップの勘で言うならば、助けてもらったし、きっと彼女達は良い人なんだと思う。
何かが付いて行けとも言う。

けれど、この前のお爺さんのような事もある。
良い人に見せかけているだけかもしれない。

「そんなに警戒しなくていいわよ。」

ドロップ達の様子を見て彼女は笑いながら言った。

「大丈夫。ザムから聴いて貴女と話をしたかっただけだから。」

彼女はドロップを真っすぐ見て付け加えた。

(ザム…ってあの…。)

その名前にドロップは聞き覚えがあった。
この前、城で逢った青年も確かそんな名前だった。

「解った。フォール、リム、大丈夫、行こう。」

ドロップが二人に言うと、二人は頷いた。

その答えに満足そうに彼女は笑い、銀色の髪の男性にも目配せをした。

「こっちよ。付いてきて。」

彼女達に連れられて、ドロップ達はさらに森の奥へと向かっていた。



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