スノー・ラヴァーズ
そのまま考え事をしていると、彼女はドロップの前に手をヒラヒラとさせた。
「あ、ごめんなさい…!」
ドロップはハッとして、自己紹介を始めた。
その様子にリムとフォールも思考を一時中断させていた。
「私、ドロップです。それから…。」
ドロップが二人を見ると、二人は淡々と名前を名乗った。
「リムと申します。」
「フォールだ。」
二人の様子を見てレイは目を丸くした。
「無愛想ね…特に彼。」
レイはドロップにだけ聞こえるように耳打ちをした。
彼…というのはフォールだろう。
そもそもフォールはドロップだって数えるくらいしか笑った所も知らないのだから、仕方がない。
「…お前たちは力を引継いでないのか…?」
それまでほとんど会話に入ってこなかったイオンが三人に問いかけてきた。
「力…?」
急な問い掛けにドロップは首を傾げる。
おそらく彼が言いたいのは先程レイが話した力の事なのだろう。
けれど…。
ドロップは自分自身の力は知らない。
ただ、スノー・ラヴァ―ズを持つだけ。
夢に出てくるノアのように力を使う気も無いし、その力は彼らの言う力ではないように思えた。