スノー・ラヴァーズ
ドロップが返答に悩んでいると、最初にフォールが言葉を発した。
「何も。」
「俺も何も出来ません。」
すぐに続けてリムも答えていた。
正直、フォールは自分の事をドロップの前で話したくなかっただけなのだが、リムは本当に何も自分に力がないと思っていた。
リムは実際に力の話が出てくる夢を見た事が無い。
だから、知らないのも無理は無かった。
本当はリムがよく行っている"先詠"は彼らの言う"力"を使っていた。
「そうか…。」
イオンはドロップの回答を待たず、視線を落とした。
「ま、いいわよね。今日は遅いし疲れたでしょ?休みましょ。一人一人部屋を案内するわ。」
まるでその場の空気を入れ替えるようにレイは明るく話した。
一人一人連れ出して、本当に部屋があった。
リムとフォール、最後はドロップだった。
「この木…広いですね。」
ドロップ歩いている時に、思わずレイに疑問を投げかけていた。
リムやフォールは本当に木だったから、木の大きさがすべての広さだったのに対し、この木は広すぎた。
確実に木より中が広く感じられる。
「正解。この木、貴女達が来る前にザムが来てるから、あの子木と仲良しだから、ちょっとやってもらったのよ。」
"ザム"
彼女の口からまたその名前が出た。