スノー・ラヴァーズ


「ザムって…草原色の髪の子…ですか?」

ドロップの質問にレイは今度は足を止め、ドロップを見た。

「そうよ。ドロップ…いえ、ノア、貴女だけ彼に逢ってるわよね。」

「はい。」

"ノア"
彼女はその名前も口にした。

ドロップがノアだと知っている。
何故、彼女が知っているのかは解らない。
けれど…きっと彼女達に着いてこなければならない理由はココだったんだろう。

「あの夢…やっぱり本当の事なんですよね…?」

ドロップの問いかけにレイは頷いた。

「夢じゃないわ。昔あった事。そして…今からも起きてしまうかもしれない事。」

レイは哀しそうに答えた。

「でも私、ノアとは違うから…。あんな事、しません。」

ドロップはキッパリと言った。
彼女の言う"あんな事"とはノアの最後にした事だろう。
オータム以外は知る、ノアの最期。

「そう。」

ドロップの言葉にレイは笑った。
確かにドロップとノアと目の中にある光が違う、そう思えた。

「とりあえず、今日は休みましょ。ここが貴女の部屋。」

気付けば扉の前に立っていた。

「あ、はい…。」

「ドロップ、ありがとう。ゆっくり休んで。」

それだけ言い残し、レイは笑顔で来た道を戻って行った。

ドロップの中にはまた色々な考えが巡っていたが、部屋に入った瞬間、すごく気持ちいい木の香りが眠気を誘い、ゆっくり眠りについてしまった。


< 110 / 127 >

この作品をシェア

pagetop