スノー・ラヴァーズ


その頃、リムとフォールも別の部屋に案内されていた。
リムは、ここまで三人同じ部屋が多かったせいかまとめられなかった考えをまとめていた。

彼らの言う¨力¨。
リムの夢には出てこない。

(フォールも知らないんじゃ知るはずもないか…。)

彼らの言う¨力¨さえあれば、きっと今の自分にも昔の自分にも出来た事があったはず。
けれど。
何もない。
結局、もう一度生を受けたって無力だった。

リムは大きな溜息をついた。

彼は過去を悔やんでいた。
昔、二人の為に、何も出来なかった自分を呪っていた。
だから。
記録を残した。
また、同じ事が、哀しい事が起こらないように。

今、各地にある、御伽話のような伝承は彼が作ったモノだった。
彼の願い込めて。
哀しい現実を隠した話だった。

けれど。
いつの間にかその伝承は各地で形を変えていた。
その結果、今、追われているのかもしれない。

もちろん、リムが残したモノが原因とは限らないのだが、彼はそう思っていた。

(俺っていつも後悔しかしてないな…。)

思わず苦笑い。
それからもう一つ溜息をついて、眠りについた。

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