スノー・ラヴァーズ
*歌姫2*
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「御来場頂き誠にありがとうございます。これより歌姫が参ります。お楽しみください。」
会場にアナウンスが響き、舞台に一人の少女が現れた。
少女はお辞儀をし、歌いはじめた。
―…♪―♪♪…―♪♪♪
―…♪♪―…♪
―♪♪―…♪♪♪
パチパチパチパチ…
「…あの子はどうして笑わないんだろう?」
拍手喝采の中、ドロップは呟いた。
楽しい唄も歌っているはずなのに笑わない。
「…そういえば笑ってないな。」
「そうだね。」
フォールもリムもそれに気づく。
「…生まれてから歌しか歌ってないからな。」
隣にいたお客さんが突然そう答えた。
「…え?」
「だから歌がすごく不思議なんだ。それが売りだ。パンフレットにも書いてある。」
聞き返したドロップにお客さんは付け足した。
少し辛そうに見えたのはドロップの気のせいかもしれない。
パンフレットを見ると確かに書いてあった。
「彼女は笑えないんだ…。」
そう思うと楽しい唄も哀しく聞こえた。
三人はいつか彼女も笑えるようにと願いながら拍手を送った…